「あ。陽路待って!」
放課後になり、すぐさま部室に行こうとしたあたしは、美香の声によって引き止められた。
「…何か用?」
あたしはあんたなんかに、今さら用はない。できるだけ今は関わりたくないので、嫌悪感丸出しでそう素っ気なく返す。そんなあたしに、美香は情けないような顔をして口を開いた。
「美香、陽路に話があるの。だから、ちょっとついてきて?」
みんなが見てる手前、美香は猫被りだし、どうせあたしが断ったらまた泣き真似でもするんだろう。そしてまたあたしの立場が悪くなっていくんだ。
面倒なことにはしたくないと思ったあたしは「いいよ。」と短く答え、美香より先に教室を出た。