――刹那、
「…陽路ちゃん体に殴られた痣あるんだ。でもその理由を聞いても、全然教えてくれないんだよね。だけど秋田先輩、その理由知ってるでしょ?教えてよ。」
あたしに背を向けたまま、不意に話し出した阿久津。感情のあまり入っていない無機質な声が、少しの恐怖を生む。
ってか殴られた痣あるって言うけど、もしかして陽路のヤツ、わざわざ阿久津に見せたわけ?そしてそれがあたしに関係あるって言ったの?
マジありえないんだけど。
「美香が、知ってる訳ないでしょお?陽路の痣のことだって、今阿久津君から聞いて、初めて知ったんだよぉ?」
動揺を、表情に出しちゃいけない。
阿久津はそういうのにかなり鋭いことなんて、この短期間の付き合いだけで承知済みだから。
笑顔を絶やさず、あたしがそう言うと、彼はゆっくりとこちらに振り向いた。

