――でも。


「…秋田先輩には関係ないことです。」


そう言ってあたしを冷たく見下ろし、深谷は部室を出ていく。何だかあたし、相当嫌われてるみたいね。まぁ見ててわかるけど。

その後はしばらく誰も部室に来なくて、あたしは一人、イスに腰掛けて過ごした。本来ならば、たまってる洗濯をしたり、部室の掃除をするべきなんだろうけど。そんなこと、あたしがする訳ないじゃん。それは陽路の仕事だもん。

でもさすがに、どうしても暇で。
さっき深谷にとってもらった箱から去年の部活日誌を出し、暇潰しに読んでみることにした。

分厚い部活日誌を開くと、毎日、陽路のキレイな字でしっかりとつけられている。生真面目に、一生懸命仕事をして、部員に尽くしてきた陽路。それなのに、同級生に裏切られている現状が、何だか滑稽で笑えてくる。

1ページずつ、ゆっくりと目を通していると、ようやく誰かが来たのか静かにドアが開いて。
反射的に顔を上げると、目に映ったのは阿久津。どくんと胸が鳴るのと同時に、あたしはにこりとほほえんだ。