未だにわからない、彼らの陽路への信頼の理由。目の前であたしがどんなに泣いても、最初から嘘だと信じて疑わない、絆の強さ。


「深谷君、あの箱届かないんだけど、とってくれる?」


練習前、たまたま一人で部室にいた深谷に声をかけた。実際その箱なんて今必要ではないんだけれど、ただ話しかける口実。


「………いいですよ。」


でもそんなあたしの心中を察することなく、深谷はそう素っ気なく言って、あたしに箱をとってくれた。渡された箱は、過去の部活日誌が入ってるため、少し重い。


「ありがとぉ。……そういえばさ、何でみんなそんなに陽路を慕ってるの?」


話に脈絡が無く唐突に、少し直球すぎる聞き方のような気もしたけれど、この際仕方ないわ。
不審感を露わにする彼に、あたしは軽くほほえんだ。