君を守りたい


「………見なかったことにして。今のは全部忘れて。コレはあたしの問題だから、もう阿久津君には関係ない。」


目線も合わせてくれず、彼女は冷たく言い放つ。“関係ない”っていう言葉が、思いのほか強く胸に突き刺さった。

でも、俺が。陽路ちゃんが傷ついているこの状況を見て、放っておける訳ないでしょ。


「関係なくてもいいよ。それこそ、俺には関係ないことだからさ。俺はただ、陽路ちゃんを守りたいんだ。」


俺がそう言うと、彼女の真剣な瞳が俺を捉える。


「もう、守らなくていいんだってば。あたしは、あたしのせいで人にまで被害が及ぶのがイヤなの!だから…。だから、わかってよ慈朗…。」


言い終わると同時に落ちた、一粒の滴。久しぶりに呼んでくれた名前に、久しぶりに聞けた本音に、少しだけ安心した。