でもその文面に、一つの疑問を抱いた。
“美香の怪我”っていうのが、何のことかわからない。
あたしには全く心当たりないし、美香って怪我なんかしてたっけ?
そのメモをもう一度読みながら教室に向かい、いつも通りに席に着くと、あたしに左腕を見せつけるようにして笑う美香と目があって。それが例の件の原因か、とあたしが納得したと同時に、美香がゆっくりと口を開く。
「ねぇ陽路…。美香のこと、そんなに怒ってるの?ホントに美香、何もしてないじゃない!」
あたしに訳の分からないことを言うだけ言い、美香は涙を流して顔を両手で覆って。
ってか何?どういう状況なのよコレは。
「あんた何言って…」
朝っぱらからよくやるなと、呆れながらそう言いかけたあたしの目の前に、刹那、大きな影が立ちふさがった。