この涼夜ってのが、あたしとよくテニスしてたっていう子。確か今は、明春初等部に通ってるんだっけ…。

あたしが凌葉の中等部入学を機に、より凌葉学園が近いところに引っ越したせいで、この三年間はほとんど会うことがなかった。


「え、藍前の知り合い?」


涼夜の後ろからそう言いながら出てきたのは、いかにも体育会系の男子。いぶかしげな瞳があたしを見つめる。


「凌葉学園中等部3年生の大崎陽路。キミは?」


だから、あたしが笑いながら自己紹介すると、途端に彼の表情はゆるんだ。明るい、人懐っこい笑顔が浮かぶ。どうやら、最初は他人に対し、かなり警戒心が強いらしい。


「明春中学1年、城田剛ッス。」


じゃあ涼夜の先輩か…。