病院の診察帰り、ようやく松葉杖なしで歩いてもいいという許可がでたあたしは、気分転換でもしようかとストテニ場に立ち寄った。

小学生の頃は、ここでよく近所に住んでいた3つ年下の男の子と打ち合ったりしてたっけ…。なんだか無性に懐かしくなる。

ストテニ場に着くと、もうそこには先客がおり、なかなかのラリーを繰り広げていて。あたしは近くにあったベンチに腰掛け、その様子を観戦する。


「………あれ。もしかして陽路?」


すると、不意に後ろからかけられた声。この生意気な声には、聞き覚えがあって。ゆっくり振り向くと、そこにいたのは予想通りの人物だった。


「……涼夜、だよね?久しぶり。」


藍前涼夜。
クソ生意気な、3つ年下の男の子。