許せない。
あたしより大切にされるなんて、絶対に許せない。


「美香、泣くなよ。俺たちは美香を信じてる。」


あたしの頭に優しく手を押き、紀彦がそうつぶやく。


「そうだぜ。あいつらだって大崎にだまされてるだけだろうしな。」

「俺たちに任せとけ。」


礼二と治が口々にそう言うけれど、騙されてんのはあんたたち。なんて愚か…。“恋は盲目”だなんて、上手く言ったものだわ。


「…ありがとう。絶対、美香を見捨てないでねぇ。」


そう。見捨てられたら困るんだよ。どうせあんたらは、あたしの駒にすぎないんだから

もう戻れないんだし、とことんやってやろうじゃない。全てはあたしの計画通り。

「おう。」とハモった三人の声だけが、夕焼けに照らされる部室内に響いた。