「俺も陽路先輩はそんなことする人じゃないと思います。あの怪我だって、自業自得だと言ってましたから。」
その発言に、みんなの視線が渡部に注がれた。室井や樺本が頷いている姿も見える。
「ミーティング、こんな話だけなら今日は帰らせてもらいます。」
深谷がそう言って立ち上がると、それに続いて、あたしたち以外の人たちは揃って部室をあとにした。
「秋田先輩、俺は陽路ちゃんが言ったことを信じるようにしてるから。秋田先輩が何を言っても信じないよ。」
すれ違いざま、阿久津があたしの耳元でそうささやいて。その言葉が、しばらく耳から離れなかった。