ねぇ。どうして?

どうしてあたしが行動を起こせば起こすほど、陽路たちの絆が深まっていくの?

何であたしが泣いているのに、これっぽっちも、あたしのことを見てくれないの?

純粋な優しくていい子を演じ、信じさせて信頼を得て。誰よりも守られるべき対象になったあたしの嘘と涙を単純に信じたのは、クラスメートと三学年、そして部活内では礼二、紀彦、治の三人だけ…

他の人は…否、一番あたしを見てほしい人は、陽路のことしか心にないんだ。

 《陽路ちゃんを守りたい。》

阿久津のその言葉が、あたしの中でこだまする。陽路のせいで、彼の笑顔があたしに向けられることもなくなってしまった。

あたしが一番になれないことに、ムカついて、悔しくて、虚しくて、寂しくて、どうしようもないの。