でも俺が口を開くより先に、陽路先輩が口を開く。さっきの紀彦先輩の言葉は、彼女のプライドを相当傷つけてしまったようだ。


「…いいよ、別に。あたし、走ってあげるよ。」


ふだんと変わらない様子を装っているが、少しいつもと違うような、そんな感じもする。そのうち何かが起こりそうな、イヤな予感…。こういう予感は、当たるから恐ろしい。


「つーことで美香。今日は仕方ないから1人でマネ頼むぞ。」

「任せてぇ♪」


礼二先輩の言葉に、にこりと笑って答える秋田先輩。コレが俺には嘘臭くて、芝居がかってるように思えて、仕方がねぇんだ。まぁ、初めて会ったときから、そうだったけれど。