「おい、大崎。美香をいじめる元気があるんだろ?それなら、俺たちとランニングやろうぜ?」


俺が部室につくと、室内ではそのような会話が交わされていた。洗濯され、乾いたものをたたんでいた陽路先輩。その手を休めることなく、紀彦先輩に向けて言葉を放つ。


「見てわかんない?あたしにはあたしの仕事があるんだよ。」


いつも通りの陽路先輩の口調に少し安心しつつ、俺も着替えを始める。だが、そんな俺の安心を翻すかのように、紀彦先輩は嘲りながら陽路先輩に言葉を返して。


「ほう。サボリはおまえの仕事かよ。マネ業は全部、美香にやらせてるくせに。」


聞き捨てならねぇ言葉に、俺は紀彦先輩の方に振り返った。