「美香の騎士気取り?勝手なこと言わないでよ。」
だからあたしも、そう言って負けじと治を睨みつけた。でもその発言のせいで、クラスメートたちからの視線が、さっきよりもより強く、痛いくらいに突き刺さる。
握りしめたままの拳が、小刻みに震えた。あたしに向けられる美香の視線が、たまらなくムカつく。
そんなあたしの心境を察したのか、美香はあたしにしかわからないようにほんの少し口角をつり上げて。治の左腕にしがみつきながら、何かを恐れるようにゆっくりと口を開いた。
「いいよ、もう…。治君たちがいたら、美香は大丈夫だよぉ。」
涙を流しながらそう言う美香に、この状況で同情しないヤツなんていないだろう。悪者は、あたし……。これは完璧にあたしが、クラスを敵にまわしてしまった瞬間だった。

