「陽〜路せ〜んぱ〜い♪今日も一緒に帰りましょ?」
「ん。寿也がジュースおごってくれるならいいよ?」
「………いいッスよ。」
部活が終わってもひたすら元気なのが寿也。
帰りの方向が一緒だというのもあって、あたしたちはよく一緒に帰る。そのおまけに、寿也には何かおごってもらったりして。
「おっ!寿也が何かおごってくれんなら俺もこっちから帰るぜ。」
「沢村先輩…。やめてくださいよー。」
男子には珍しく、あたし同様甘いものに目がない恭汰も便乗してくるこの構図、見慣れてしまって突っこむ気さえもわかない。
けれどその代わりに、こんな感じに無邪気に笑う恭汰の笑顔を見て、ある人の姿を思い出す…
“陽路ちゃん!”
そう、明るくあたしを呼ぶ声。
それはあたしが、忘れなければいけない過去にしまった、大切な記憶のカケラ…