「でっ、出やがったな!」

ゼルドさんはヤレヤレと、左右に首をふる。

「いい加減、なついて貰いたいね、ガルンさん」

「だっ、誰がなつくか!」

興奮し過ぎて、裏声になってしまっているガルン。

餌をまいていた係の人も、何事かと此方を見ている。

(は、恥ずかしいなぁ。もう…)

他人のふりをして、水魚達の様子をもっと良く見ようとしゃがむ。

深緑色の藻が生えていて、深い所までは見えなかった。

時折銀色に輝くのは、水魚だろうか?

(そういえば、こんな沢山の水をみるのは、あのオアシス以来だな。)

オアシスの泉は、とても澄んでいて、底まで見えていたけど、小さな生き物すら居なかった。

(きっと、あれは…)

造られた、オアシス…。

(…誰に?)

「おい、どうした?リール」

ガルンの呼び声に、首を振る。

「水魚、見えない…」

答えたのはガルンの隣に居たゼルドさん。

「水魚なら、水族館の方が見やすいね。色々な種類の水魚が展示されてるね。」

「同じチケットで水族館もセットだって入り口で言ってたな。とりあえず水族館に行ってみるか?」

私は、ガルンの問いに頷く。

そして、私達は養殖場を後にした。