「ま、たまに探し物や届け物なんかの簡単そうな依頼もあるから、見に行ってみるのも良いかもな。
あと、荒っぽい以外の職業での仕事の募集は、確か職業ギルドで探せたはずだ。」

ガルンは自分の顎に手をかけ少し言いにくそうにたずねてきた。

「リール、お前、このままこの街で暮らそうとか考えてるか?」

私は首を傾げた。

「いや、このまま此処で暮らすなら、それはそれで良いんだ。
反対しない。
ただ、別れるのが寂しいなと、俺は感じたんだ。」

私は考えた。

確かに、過去を忘れたままでも、どこか一つ所に腰を据(ス)えて、何か職を見つけて暮らすのは安全だ。

だけど。

私は、もっと沢山の物を見たいと感じた。

もしかしたら、別のどこかに、私を知っている人も居るかもしれない。

そして。

数日共に旅をしただけだけど、それはガルンと一緒に、もっと旅をしたいと思わせるのには充分な期間だった。

「まだ、旅したい。ガルンと…」

「そっか」

ガルンはニカッと笑い(コレだけは狼男の時とそっくり同じだ。同一人物とはいえ、あまりにも容姿が違うので、共通点は殆ど無い)、私の頭をまたワシャワシャと撫でた。