私は、ガルンの肩に乗って移動したから、あまり疲れてない。

だが、ガルンは大暴れした後、私を乗せて、かなりの距離を走った。

それに、そういえば、傷だらけで牢に倒れていたような…。

「そ、それに傷は…?」

慌てて問うと笑い飛ばされた。

「ははは、今更だな。
大丈夫、ムーンラックは強いんだぜ」

むんっと力こぶを作る仕草に、私から笑いが漏れた。

「良いね、笑顔。
ようやく笑った。」

(そ、そうだっけ?)

指摘に顔を赤くする私。

笑ったら、気が楽になった。

気が付いたら記憶喪失で、遭難して、盗賊に捕まって。

ずっと気を張り詰めていたけど、何とかなりそうな気がしてきた。

「ガルンのおかげ。有難う」

私が言うと、ガルンは照れくさそうにそっぽを向いた。