水の幕は、人差し指の先から第二関節までの厚さだった(指を差し込んで調べてみた)。

地面にしゃがみ込み、水の落ちている辺りをさらに観察する。

どうやら、段差の下には、穴が空いているようだ。

そこへ水が吸い込まれている。
この溝が、街をぐるりと囲んでいるのなら…?

(もしかして、昔はそういう機能が動いていた?)

それを、私が偶然動かしただけ?

安堵が胸を満たした。

だけど、まだ。

(完全に安心するには、多分早い。)

どういう機能かも解らないし、謎は多く残ったままだ。

本当に安全なモノかも、解らない。

(かなり長い間、稼動して無かったようだし…)

溝の上を歩いたら、多少なりとも違和感が有るはずだ。

それが無かったとするなら、かなり厚く溝が土や砂に被われていた…という事だ。

サカナに来たとき、そんな事…

……あれ?

(そういえば、私気絶してたんだった…)

サカナの外で気絶して、気付いたらサカナの中の宿屋にいたのだ。

あれから、そんなに経っていないハズなのに、だいぶ前の事のように感じた。