慌てる梳菜に対して、萬天は平然としていた。 「梳菜、あれをご覧。」 「え……?あ!」 言われるままに、発火した林火を見て、梳菜は驚いた。 人々は、誰も燃えてなどいなかったのだ。 確かに火に包まれてはいるものの、誰一人として体が焼け爛れたり、着物に穴が開いたりしていない。 林火は、炎に焼かれているという幻を見せているだけだった。