私はしっかり暁兎を見た。


『暁兎…?』


「朱鳥……」


確かに、暁兎は口を動かして私の名前を呼んだ。


ナースコールをと思ったが、暁兎の声しっかり聞きたくて。

私は物音一つたてなかった。


私が暁兎の顔を見ていると、

少し、暁兎は微笑んだ。



「ありが…とう」



一言、それだけ言うと、暁兎は何も動かなくなった。