一瞬…暁兎が何を言っているのか分からなかった。 「これは絵里には話してなかったんだけど、本当は、朱鳥に少しだけでも会いたくて、わがまま言って……こっちに来た」 「病気のことが…分かって…俺がやり残したことってさ…朱鳥に会うことだったんだ…」 「本当は…本当はっ…朱鳥を巻き込むつもりなんて…無かった」 「ごめん」 いつの間にか私は暁兎を抱き締めていた。 暁兎も私も、涙を流しながら。