見渡す限り、すべての木々が無数のイルミネーションで光り輝いている。



その様はまるで、ここが地球の中心だといわんばかりに、誇らしげだった。



…なんてきれいなんだろう。



桃色に輝く光の粒が、空から降り積もったように重なっている。



これが、祐太の言っていた、シャンゼリゼ通りのクリスマス。



世界中か注目するだけのことはある、と思った。



パリの長い歴史が築いてきた建物と、その姿を照らす現代的なデザインの光たち。



その融合は、私が知っている言葉の、どれを並べても表現できないほどの美しさを醸し出していた。



『恋人と一緒に見る人が多いんだ』と、祐太からのメールには書いてあったっけ…。



…そう…祐太からの…。



……。



……祐太!



あやうく、ここに来た目的を忘れるところだった。



私はあわてて視線をめぐらせ、ふたたび祐太の姿を探した。