「さて、と」 2年の昇降口に向かう志季の背中を見送り、さぁ私もと踵を返したときだった。 「……!?」 思わず、息が止まった。 目玉だ。 沢山の目玉が私を見ていたのだ。 …軽くホラーですよ、これは。 昇降口から。 下駄箱の間から。 教室の窓から。 みんなが足を止めて、じっと私を見ている。 しばし呆然とする。 「美希ちゃん?」 「オレンジ先輩…」 一時停止状態だった私を救ってくれたのは、オレンジ先輩だった。 相変わらず派手な頭… って、今は感心してる場合じゃないんだった。