「ねぇ、いるんでしょ?」 そう云って、瑠璃子に……そして絵理子にもそっくりな女が顔を近付けるとドアスコープを通した俺の目には歪んだ笑顔が映る。恐ろしい程に醜く歪んだ笑顔。 それでも“笑顔”と呼んでいいものだろうか。 しかし、言葉にするなら笑顔はあくまで笑顔でしかない。