案の定、部屋の前で止まった靴音は壊れたチャイムを押す間を取ってから、小さくドアを叩く音に変わった。


俺はなるだけ音を立てないよう気配を忍ばせて、ドアへ近づく。


慎重に、そして汗ばんだ震える両手をドアに押し付けて覗いたドアスコープには見慣れた顔がこちらを向いて笑っていた。






心臓が音をたてて跳ね上がる。