俺は心底、金に困っていた。 もう死んでも構わないと思えた、あの日、俺は有り金を使い果たすまで酔い潰れ、女を一人拾った。 いや…… 本当に拾われたのは、俺のほうだ。 通りの陰でゲロを吐いてた俺に女は背中を摩り、ハンカチを渡した。 ほんの少し、落ち着きを取り戻した俺は女の顔を見て、更に恐怖でこみあげた全てのものを吐き出した。何もかもを吐き出したかった。 そんな俺に一旦は傍を離れ、女は何処からかペットボトルの水を買ってきて差し出し、また背中を摩り始めた。