「ふみ、か。耳……」 自分でも情けないくらい力が抜けた声。 それくらい、文香のクセに驚いているんだ。 何故か僕の耳がキリキリと痛くなってくる。 見ていられなくて、何も持ってない手を伸ばし、彼女の手を耳の後ろから離そうとした。 すると 文香は手に持っているものを離し、両耳を手で包みこんだ。 水たまりに、開いた傘と缶が水滴を散らしてほんの少しだけ浸かる。 「文香……?」 もう1度、手を伸ばす。 文香は僕の手を払って、首を横に振った。