ボソッとつぶやく文香。 文香の表情は固まっていて、彼女なのに彼女じゃないみたい。 僕は何て声をかけたらいいか分からなくて、文香の耳の後ろに置いてある手を見つめた。 ……。 ……あれ? 彼女の耳の後ろに置いた手の違和感を感じた。 ……! 今まで意識して見ていなかったから、全然気づいてなかった――…。 文香は、ただ耳の後ろに手を置いているだけじゃなかったんだ。 ――耳の裏に爪を立てている。 それも、爪痕が出来てしまいそうなくらい強く。