顔を少し下げて、目を口を開けたまま手のひらにのった缶を見つめる文香。 「いいの?」 茶色い瞳の視線だけ上げて、今度は僕を見つめる。 “いいの?”って、自分がグレープフルーツジュースがいいって言ったんじゃん。 つーか、なんでまた上目遣いなんだよ。 ダメなんだって。 その目で見つめられると僕が僕じゃなくなるから。 「……いいよ、そのくらい。僕そこまでケチじゃないよ」 文香の視線から逃げるように僕は自販機に顔を向けて、120円入れた。