自販機に向けていた視線を肩のすぐ隣に移すと、黒い髪の女の子……文香がいる。 もう。せっかく逃げてきたのに意味ないじゃん。 そんなことを思いながらも、小さい缶のグレープフルーツジュースのボタンを人差し指で押していた。 ガコンッと素早く落ちてきた小さい缶。 雨のせいで水滴がたくさんついている、透明なプラスチックの板のようなものをめくり、上半身を少し前に倒して缶を取った。 「はい、どうぞ」 グレープフルーツジュースを、文香の手のひらにのせる。