1歩足を前に出すと自動ドアが開いて、視界いっぱいに服やらエサやらゲージやら……ペット用品がズラッと。


ペットショップの独特の臭いが鼻を襲ってきて、思わず手で鼻を押さえた。


でも、すぐに慣れたから手を離す。


「ユキくん、犬嫌いって言ってたよね?だから好きになってもらおうと思って」


タケのリードを持ってない方の手で僕の左手を握る文香。


白いワンピースや髪はまだ乾いてないけれど、文香の手は僕の手より暖かくて気持ちいい。


つい、手を握り返してしまう。