学校からこの部屋に来るまでを頭の中で回想してみたけど、“犬が嫌い”だなんて一言も言ってない。 「なんで僕が犬が嫌いなの分かったの?」 文香の質問なんて全く無視して自分が聞きたいことを聞く。 首もとからあごに移動する文香の白い肌の手。 「なんとなく。やっぱり犬が嫌いなんだ?なんで?」 なんとなく……って、タケの階段を上る技もすごいけど、文香の直感もすげぇな。 むちゃくちゃ鈍そうなのに。 ……はぁ、別にトラウマとかそういうのじゃなくて、本当にたいした理由じゃない。