見たくない、吠えないでくれ。 キャンキャンうるさい鳴き声がスゴく嫌いなんだよ。 顔は下げたままそーっと上目遣いで文香を見ると 「ユキくん家入らないの?」 心の叫びが文香に聞こえているはずもない。 右手でタケを抱えた文香は、空いている左手で“こっちにきなよ”と言うかのように、手招きをしてくる。 ……行かなきゃダメ? とか思うけど、彼女の表情が楽しそうだから、行かないわけにはいかないような気がして。 「入るよ、おじゃまします」 と言ってしまった。