首を横に小刻みに振る文香。 「ダメなんかじゃないの。ただ……」 「ただ?」 文香は耳の後ろから目元に手を移動させて、僕からは動く唇しか見えないようにする。 「恥ずかしい。男の人を家に入れたことないもん」 昨日誘ってきたやつが何を言ってんだか……ほとんど知らないやつに抱かれる方が恥ずかしいと思うんだけど。 「カタチだけでも彼氏なんだからいいだろ。ね?」 「……う、ん」 目元を隠してる手を僕の手で包み、手を繋いだ。 「よし、行くか!」