文香には悪いけど、愛川の兄ちゃんが何を言いたいか分かっちゃった。
「そんなに僕のことが好きなんだ?」
ちょっとイジワルに言ってみたり。
「ユキくんのバカ!」
文香が、握っていた僕の手をパッと離す。
“バカ”って言ってるくせに、笑顔なんだから可愛い。
「ちょっと。あたし達がいるの忘れて恥ずかしいことを言わないでよ」
「マジそれ。オレ達は退散しようか」
愛川はカップルは、文香とのやりとりにケラケラと笑いながらコッチに歩いてきて、僕の左肩のすぐ隣を通り過ぎた。
通りすがりに“ミカをよろしく”と言い残して――。


