何が変わったのかハッキリとは分からない。


だけど、なんとなく自分でも、性格とかが柔らかくなっている気がする。


自分が傷ついたからこそ、人を傷つけたくない……って、前の僕ではありえないな。


文香との出会いが、僕をいい方向に変えたんだ。



「やっと兄ちゃんも安心出来ると思う」


愛川はそう言って、目尻を下げ、クシャッと笑った。



もしかしたら、変わったのは僕と文香だけじゃないかもしれない。


愛川兄弟も、何かが変わっていたりするのかも――。