僕のカラダの『使用期限』



黒い前髪がじゃまで、顔の表情が分からない。


“剛志くん、噂と違って優しい”


初めて文香を抱いた後、ホテルの前で言われた言葉。


そうだ、文香は噂を信じない。


だから僕は、文香が気になって仕方なかったんだ。


ねぇ、今どんな表情(かお)で話してるの?


そっと右手で、顔を隠している黒い前髪をかきあげてみた。


すると


ポタッとコンクリートの床に、水滴が落ちた。


僕が泣いているわけじゃない。


“え?”と思いながら床から目を離せないでいると、次から次へと、ポタポタと水滴は落ち、コンクリートに水玉模様が描かれていく。