愛川が何を言ってるか分からない。


五感が鈍ってる。


頭が真っ白だ――。


あぁ。


僕は、まだ文香が好きで、忘れられないでいるのに。


文香は、次の“カラダ”を見つけている。


「ユキ!」


どうしょう。


動けない。


「ユキ聞いてんのか!?早くここから出るぞ!」


つかまれた服から引っ張られる感覚。


倒れそうになって、反射的に足がバランスを保とうとして動く。


そんな感じで1歩ずつホテル街の外へ。


文香が入っていったホテルを見つめながら。




彼女が離れていく――。