マジで助けてくれ。


誰かに助けを求めるように教室ドアの方を見ると、見覚えがある黒髪の“女の子”がいた。


「文香!」


“女の子”は文香だった。


「あっ。剛志くん、おはよう」


ザワザワとウルサい教室でもしっかりと聴こえる芯のある声。


ドアから僕の席は結構離れているけど、茶色い瞳にしっかりと僕を映し、微笑んで手を振ってくる。


へぇ~。文香って笑うとえくぼが出来るんだな。


「剛志あの子、昨日の子?」

「そうだよ。お前一々聞いてくんな、しつこい」


文香に手を振り返して女を睨んだ。