“ミカ”が“文香”? 胸ぐらから離れる右手。 今度は僕の目がパッチリと開く。 「フ“ミカ”だよ。タケ“ユキ”と同じようなもの。兄ちゃんは他の人よりミカの特別になりたかったから、そう呼んでたんだ」 おいおい、ちょっと待て。 文香から聞いた話では、愛川の兄ちゃんはかなりひどいやつのはず。 なんか話と違うんですけど。 一瞬だけ太陽が雲に隠れ、少し涼しくなる。 愛川は、首の後ろに左手を置いて大きなため息をついた。 雲から顔を出す太陽。