「タケ……っ、どうしよう。僕、抱けなく……なっちゃったよ」


何もかもが揺れている視界の中、クリーム色のシルエットがなんとなく見える。


「文香を……抱けなくなったよ……っ」


今まで撫でたりしたことはあったけど、抱きしめたことはなかった。


「苦しいっ……苦しいよ。っ……タケ」


でも、寂しくて寂しくて、何か温もりを感じていたくて。


タケの前足の脇を持って自分の腕の中に入れ、優しく抱きしめた。


すると、揺れていたボヤボヤの視界じゃなくなった。