玄関まで1人で来た。 文香は部屋にいる。 僕以外の靴はないけど、植物がいくつも置かれていて殺風景ではない。 でも、寂しい。 靴を履いていると階段を下りてくる音が聴こえた。 僕に近づいてきたのは、文香じゃなくて 「タケ……」 なんでだろう。 さっきまでこらえていたものが一気に溢れる。 視界がぼやけてタケが見えない。 男なのに泣くとかダサすぎる。 今まで女のことで泣いたことなんてなかった。 文香を好きになってから“今まで”が通じない。