耳の後ろの髪をつかんで、まぶたから溢れそうになるものをこらえる。 抱けない……! 「やっぱり、ユキくんは抱きたくないんでしょ?……もう、いいよ」 “もういい”って、どういう意味? 「……ごめんなさい。ワガママ言ったりして」 止まったはずの彼女の涙が、また頬を濡らしてベッドのシーツの色を変える。 「別れよう?」 ――突然、愛川が言っていたことを思い出した。 “彼女を抱いてる間が使用期限なんだよ” 使用期限――…。 “抱けなくなったら、利用価値のないガラクタ” 抱けなくなったら――…。