文香はまばたきをすごい速さで繰り返し、耳の後ろに手を置いた。 「……」 何も言わない文香。 沈黙に耐えきれなくなった僕は、また口を開く。 「噂とかさ……気にならないの?僕っていい噂ないだろ?」 なぁ、お願いだから何か言ってよ。 僕のペースを乱さないでくれ。 文香はまばたきを止め、耳の後ろに手を置いたまま首を横に振って、ニコッと微笑んだ。 「気になりませんよ。噂はあくまで噂じゃないですか。剛志くん、噂と違って優しい」 ――僕が優しい……?