でも、文香はそれくらい自分を責めていたんだ。 「僕なら――」 “僕ならそんな思いをさせない” 告白みたいなセリフを言うつもりだった。 でも…… 「ユキくんも本当は私を抱きたくないんでしょ?」 告白みたいなセリフは文香の声と真っ赤に充血した茶色い瞳に遮られた。 黒いテーブルに落ちた水滴を生ぬるい風が乾かす前に、またポタポタと落ちる。 “抱きたくないんでしょ?” 「そんなこと……」 ない、って言い切れない自分がいる。