「ほら、早くここから出よ。初めてのやつが無理するな」 「……うん」 ちゃんと着れていない制服をキチンと来て、部屋を出る僕達。 「なぁ、文香」 ホテルから出た瞬間、僕に背を向けて帰ろうとする文香に向かって、あまり大きくない声で彼女の名前を呼んだ。 聞きたいことがあったから。 文香はクルッと体を半回転させて僕の方に振り向き、“何?”と言ってるかのように首を傾げる。 ……~っ。 その姿が不覚にも可愛いと思ってしまい、ゴクン、と喉を鳴らした。