[ワンワン、ワン]


相変わらずこの犬には会う度に吠えられる。


「もう吠えないでくれよ、タケ」


クリーム色の毛、文香と同じ可愛いらしい瞳のチワワは、玄関に僕が足を踏み入れると同時に吠えまくる。


「タケはユキくんが来てくれて嬉しいから吠えているんだよ。ほら、しっぽ振ってるでしょ?」


タケのしっぽを指で指して微笑む文香。


確かに毛をフワフワさせながら左右に振っている。


「マジ?僕が来て嬉しいの?」


頭を撫でようと手を近づけると、タケは頭を下げて上目遣いで僕に視線を送る。