と同時に、ふと、文香とペットショップに行った時のことを思い出した。 自販機の前で、耳の裏に爪を立てて“使える女”と叫んだ彼女が忘れられない。 文香はここにいないのに、ペットボトルに触ると彼女が泣いてしまいそうで怖い。 「どうしたんだ?飲まねぇの?」 愛川に言われて、やっとペットボトルをつかむ手。 何怖がってんだよ僕。 「飲むよ、好きな飲み物だし」 クルクルとフタを回して外し、一口だけ飲んだ。 このミルクティーは、甘さを控えているのかあまり甘くはない、けれど嫌いではない。