「“女の子”じゃないです。“文香(ふみか)”ってちゃんとした名前があります」
そこに食らいつくのかよ。
女の子は涙を腕で拭い、両手を合わせた。
「あの……お願いがあるんですけど」
「何?」
「毎日、私を抱いてくれませんか?カタチだけの彼氏になってくれませんか?」
まっ、毎日?
カタチだけって、カラダだけって意味だったんだな。
「エッチが大事なんでしょ?私、上手になりたい」
そういうつもりで言ったんじゃないんだけど。
「お願いです!」
僕って意外にMなのかもしれない。
こんなに頼まれたら断れない……。
「……分かったよ」
こうしてカタチだけの彼氏は成立した。


